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『子宮の中のエイリアン~母と子の関係はどう進化してきたか~』
エレイン・モーガン;著 望月弘子;訳 どうぶつ社
http://www.amazon.co.jp/%E5%AD%90%E5%AE%AE%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E2%80%95%E6%AF%8D%E3%81%A8%E5%AD%90%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E9%80%B2%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%8B-%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/dp/4886223052
あれは2009年、今年の初め頃だったか。妊娠中のリア・ディゾンがインタビューで「おなかの中にエイリアンがいる感じ」と答えておりその時はふーんとしか思わなかったものだが、いざ自分の腹が膨らみ胎動を感じ始めるとなるほど確かにその表現はうまく的をついたいいコピーだと納得した記憶がある。妊娠して母性本能が芽生える・・・わけでもなく、自分の行動が胎児によって制限されることが解せないまま、不思議な「何か」に「寄生」されているという状態の時に出会ったのが本書、『子宮の中のエイリアン』。このエキセントリックというか過剰気味でヤバいタイトルからしてとんでも系かとニヨニヨして注文したのだが(おまけにこの作者、水生類人猿説という、わしの知らん新説を唱えている人らしいし)、原書タイトルはThe Descent of the Child: Human Evolution From a New Perspective 。直訳すれば「子どもの由来~新しい観点から見たヒトの進化~」・・・かな。邦題違いすぎ! ・・・ってまあそれなりにちゃんとした学術本(笑)。
あ。
アクア説(水生類人猿説)って何じゃ?・・・な方は、このページをどぞ。
http://miraikoro.3.pro.tok2.com/study/mekarauroko/jinruihadokodetannjousitaka02.htm
さて本書、『子宮の中のエイリアン』。
妊娠当時、自分の母性愛の芽生えなさに少なからず後ろめたさを感じていた私にはうってつけの、圧倒的な面白さ!母性愛などという胡散臭い心理学(爆)は捨て去り、人間の誕生過程を人類学、生理学、生物学的見地から見事に解き明かしてくれるのだ。
なぜ人間は未成熟なままで生まれてくるのか?なぜ人間は卵のまま産まないのか?なぜ人間は有袋類に進化しなかったのか?モーガン氏いわく、これは自然界ではリスキーな状態だが、できるだけ脳を発達させるような進化を続けた結果なのだそうな。「人間の赤ん坊は自分自身の都合から脳を大きくし、体も大きくなった。そのままでは妊娠中の母体の負担が大きすぎるしお産も大変だから、母親は、まだ未熟な段階で赤ん坊を産み落とすことにした。だがそれでは赤ん坊が困るので・・・」という母子双方のせめぎあいこそが人類進化の道筋らしい。
邦題に「エイリアン」とあるように、胎児が意志を持っているかのように母親に寄生して進化してきた様子が面白い。そういった真正の「他者」である子と母の葛藤が胎児の間だけでなく誕生後も続くのだ!!そして「はじめに」で説明書きがあるとおり、本書は進化学から始まり、歴史、経済、フェミニズム、中絶、核家族・・・といった社会学にまで触れられている。
ちなみになぜ人間は、他の哺乳類のように全身毛むくじゃらではないのか?実は受精後二十週ごろには頭も顔も手足も「毳毛」と呼ばれる毛で覆われるのだが、その後胎児の間にその毛を脱ぎ捨てて(?)いるらしい。知らんかったー。
・・・などと理論武装(?)してコワゴワ臨んだ産後の双子育児生活であるが、何もかもが新鮮で、予想を超えて愉快だ!ちびっちゃい生き物がウニョウニョ啼いている(>低体重児だからか声もまだ可愛い)姿はなんとも言えん。母性本能やら母性愛ってのが何なのか未だによくわからんが、全身で泣いて一生懸命に乳を吸う姿は愛しいもんじゃのう。
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